読書感想文 -ピンクとグレーを読んで-

※はじめに※

これは、加藤シゲアキ作 小説『ピンクとグレー』を読んだ学生の読書感想文という設定のブログです。が、まあまあ私情を挟むのでキモチワルイです。ええ。

あらすじのネタバレを含んでいますので、閲覧はご注意ください。

また、ここでは一人称を「僕」とさせていただきます。(その方が書きやすかった)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タイトル『ピンクとグレーを読んで

☆年☆組 ☆☆番 おばけちゃん

 

 

    僕は17年生きてきた中で、一度も芸能界に入りたいと思ったことはない。しかし、僕はテレビを見ることが昔から好きだった。テレビの中で歌を歌う人たちを昔から僕はたくさんみてきているし、たくさんの人々を笑わせる人たちもたくさんみてきている。僕には、好きな芸能人がたくさんいた。

中学一年生になる少し前、僕はある芸能人の虜になった。僕は漠然と、彼のある芸能界という世界に興味を持った。別にそこに行きたいというわけではなかったが、彼がそこで輝いてるという事実に、幼いながらとても憧れていたのは本当だ。

 

    僕はその時に初めて「ジャニヲタ」というものを知った。「ジャニヲタ」というものはとても面白くて、対象となる人物をただひたすらに好きでいさえすれば、それで成り立つのだ。僕の場合はそうだった。

僕の対象は、軽快な関西弁を話すスタイリッシュなお兄さんだった。僕が彼のことを好きになった時点で、彼はすでに世間に名を馳せる有名なトップアイドルだった。僕はそれがとても誇らしくて、彼の立場がすごく恵まれていると感じた。僕は彼を幸せだと思った。実際、彼も幸せそうにしていたから、僕は彼のことを幸せなんだと信じた。

 

    僕が「ジャニヲタ」になっておよそ一年が経った頃、『ピンクとグレー』の映画が公開された。僕はその時、彼と同じ事務所で彼と仲が良かった人が書いた小説が映画になるという喜びで、この映画をみに行きたいとせがんだ。同じく「ジャニヲタ」だった姉に一緒に行こうと言った記憶がある。(嘘かもしれない)

姉は__僕が「ジャニヲタ」になるきっかけとなった人物だ__一足先に友人とみに行ってきたのだが、『ピンクとグレー』をみたいと言う僕にただ一言、「あなたには早すぎる」と言ったのだった。まだ中学一年生だった僕にはその言葉の意味が分からなかった。だったらいつかテレビで放送してくれるだろう、これだけ話題になってるし、実際売れてるんだから、と言えば彼女は内容が内容だからなあと呟いて、「まあ気になるんだったら本読んだら?」と言った。

それほどまでに彼女が、僕が『ピンクとグレー』を知ることについてあまり良く思っていなかった(と僕は感じていた)理由が、その時はまだ分からなかった。

 

 

    それから僕はしばらく『ピンクとグレー』を読むことはなかった。買ってまで読みたいわけではなかったし、それ以前に読みたい本がたくさん積み重なってしまって、なかなか読む機会が無かったのだ。

結局僕が『ピンクとグレー』を読んだのは、中学三年生になった春だった。

僕はまだ、関西弁の彼の「ヲタク」をやっていて、まあアイドルファンなら読んでおくべきか、もうそろそろ読んでもいいだろ、という気持ちでその本を手に取ったのだった。

 

    結論から言えば、僕はアイドルに、しかもファンじゃない人に、顔とか歌とか曲とか衣装とか、そんなものじゃなくて、言葉で殴られた。輝くアイドルに言葉など必要のないものだと勝手に思っていた子供の自分が心底馬鹿だったことに気づいた。脳天を言葉でガツンと殴られて、僕は一瞬「ジャニヲタ」としての気を失った。

僕は、芸能界に入りたいと思ったことは無い。だけど少なくとも僕の好きな彼は、僕が入りたいとは思わない世界で幸せに暮らしていると信じていたし、この本を書いた彼の友達も、もちろんそうであると思っていた。

だけど僕は、芸能界という世界なんて何があるのか分かんないんだとその時初めて気づいたのだ。

 

    僕はその当時、この本を書いた作者の経験してきたことをよく知らなかったので、ごっちはごっち、りばちゃんはりばちゃんとして受け止めて、それを咀嚼した。誰がモデルで…とかは考えなかった。

ただ、ごっちはとても繊細で、何より美しい人物だということは分かった。ごっちの魅力はどこかに漂う奇妙さだが、それ自体は気味が悪いものなのだが、ごっちという人物が纏うことで美しい装飾品になる、といった感じだろうか。

それに対し、りばちゃんは面倒くさくてどちらかといえば僕の住んでいるこちら側の世界の人だったと感じた。

りばちゃんはごっちのような奇妙さを持ち合わせてはいなかったし、無論、もしりばちゃんがその奇妙さを纏っていたとしてもそれは違和感でしかないだろう。

ごっちはアイドル、りばちゃんは人間だと思った。だから僕はごっちのことを理解できなかったし、りばちゃんに共感を抱いた。僕は人間だから。

 

「やらないなんてないから。」

そして、僕はこの言葉に強く胸を打たれた。中学三年生の僕にとって、この言葉は先生たちが受験生になる僕たちに与えるどんなものよりも、僕を奮い立たせてくれた。「やらないなんてない」と言うには、相当の覚悟がいる。その覚悟を背負ったごっちが、ごっちのお姉ちゃんが、子供の僕には眩しく見えた。僕もその覚悟を決める勇気が欲しいと思った。僕にはやらないという選択肢は無い。どこかのCMの決まり文句のようだが、この物語を読んでから僕の心の底にはずっとこの言葉が根を張って、自覚のないまま僕を励まし続けてくれていた。だから僕はこの言葉が好きだ。

 

 

 

    それから色々あって、僕は『ピンクとグレー』の作者のファンになった。彼が『ピンクとグレー』という物語を書いたことも含めて、彼のことがアイドルとして好きになった。

彼のことは何も知らないはずだったのに、僕は彼の経歴を知るうちに、なぜか昔からそれを知っているような感覚に陥った。最近までその理由は分からなかったのだが、先日、彼のファンになってから初めて『ピンクとグレー』を読んだ時に、それは案外すぐに明らかになった。

りばちゃんの生い立ちが、ほとんど彼と重なっていたのだ。僕はそれに気づいた時、名探偵になった気がした。

僕はりばちゃんを作者自身に重ねていたのではなかった。作者自身をりばちゃんに重ねていた。

つまり、僕の心の中には、中学三年生の時に知った、僕たちの住む世界にはいないりばちゃんという存在が根底にあり、それを前提として無意識のうちに作者の彼のことを好きになったのだった。自分でも不思議だとは思うし、そんなの嘘だろ!と今でも思っているが、きっとりばちゃんが僕に与えた世界は予想以上に僕を侵食している。

 

    彼のファンになって読む『ピンクとグレー』は、中学三年生で読んだ時よりもはるかに苦しく、悲しく、そして涙が出るほど綺麗だった。

ごっちも、りばちゃんも、それは紛れもなく作者自身だった。

ごっちもりばちゃんも、「加藤成亮」と「加藤シゲアキ」の2人の人間を背負う作者自身の姿だった。ならば、芸能界で「白木蓮吾」として輝くごっちが「加藤シゲアキ」で、人間らしく葛藤をみせるりばちゃんが「加藤成亮」なのかと問われれば、僕はそれは違うと思った。

 

    僕は、ごっちが「加藤成亮」と「加藤シゲアキ」の両方を背負う人物だと思った。

そしてりばちゃんは「加藤シゲアキ」だった。

ごっちが「鈴木真吾」ではなく「白木蓮吾」として輝き始める瞬間は、「加藤成亮」がどこにもいなくなることの象徴ではなく、「加藤シゲアキ」が「加藤成亮」を追い抜かすことだと感じた。

だからある意味、ああ、「加藤成亮」はまだ存在しているのだと心のどこかで安心したのだ。

 

 

 

    そして、僕がこの物語を読んでずっと気になっていることは、死の描写がやたらと細かいことだ。僕は人の死ぬ瞬間を見たことはない。まして、自ら命を絶った人の姿など、僕は知らない。

死なんていくらでもデフォルメしてぼかすことが出来るのに、作り話の中なら「死んだ。」の一言で死なんて表すことが出来るのに、彼は死を、とても細かく、印象的に、そして冷静に描いた。

だから僕はこの物語を読むと、背筋の凍る思いをする。彼はもしかしたら、どこかで死を望んでいたのかもしれないと、そう感じるのだ。

アイドルとしての死は、そのまま死を意味するのだろうか。彼はこの物語を書いた時、少なからず頭のどこかに死という選択肢を持っていたのだろうか。それでもそれは出来ないと、だからごっちに全てを託したのだろうか。

ごっちが、彼自身の願望だったとしたら。ごっちの最期を含む全てが、彼が白木蓮吾という人物に託した彼自身の思いだったとしたら。

僕はそう考える度、彼をもっと愛したいと強く思うのだ。

 

 

 

    僕が彼のファンになって、まだ日は浅い。だけど僕は彼を深く深く知りたいと日々強く願っている。僕は、アイドルと人間の二つの姿を背負いながら、その狭間で物語を紡いでいく彼がどうしようもなく愛しい。そのままを綺麗な言葉で伝える彼の文章が、本当に好きだ。

僕は住む世界の違う彼の全てを理解することは出来ない。これからもきっと、理解することは無い。しかし、この物語を読むことは彼を知るための大切なものの一つであることは間違いない。この物語をきちんと読むには相当の勇気がいる。だけど、逃げちゃいけない。だって彼が、「やらないなんてない」と言うから。

彼が人生を振り返った時に、楽しかったと笑えるように、僕はファンとして、彼の見る景色にほんの少しだけでもいいから光を足してあげたいと思う。

 

    僕はこれからも、彼を愛していく。そして、彼が守りたかった仲間のことも、もちろん。3年ぶりにこの物語が僕に与えてくれたのは、あなたを愛することの「覚悟」と「約束」だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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文字量!!!!

全然読書感想文っぽくないむしろただのオタクのポエマーブログじゃんって思ったじゃん。じゃんじゃん。

ピンクとグレーねえ…初めて読んだ時と感じ方が全然違ってびっくりしちゃった。少し成長したからかなあ?私中学生の時結構アホだったからなあ…(今もさほど変わりませんけど?)

あくまでも個人的解釈だから、ピンクとグレーは各々が読んでみることが多分一番いいと思います。私もまだまだ読みたい!だって加藤さんの書く文章めちゃくちゃ好きだもん!

ただ、読んでてやっぱり私はアイドルが好きなんだなあと思いました。関西弁の彼にしても、加藤さんにしても、4人にしても、私は幸せそうなアイドルが大好きなんですよ。だから彼らにはずっと幸せでいてくれないと困る。たかが17のガキが何言うとんねんって自分で思ったけど。

要は、好きってことよ。それだけ。

私のそれだけにはこんだけ詰まってるって思っていただけたら大丈夫です。

さ〜てじゃあ次はBurnを読もうかな!!私はしばらく加藤シゲアキ作の世界に浸ることにするよ。

 

おしまい。

 

 

 

 

 

 

絶望的に素晴らしいこの世界の真ん中に僕は君と共にある。

加藤シゲアキ作  小説『ピンクとグレー』より