だって君が好きなんだ

 

 

 

 

 

「生きがい」とまでは言い切れず、それでも「趣味」の範疇に入れるにはあまりにも大きすぎる君の存在に、私は怒ってる。

君を好きになったのは私だ。だけど私を好きにならせたのは君だ。こんなにも好きにならせて君は一体どうしたいんだ。教えてくれ。

 

 

 

 

 

君が好きすぎて毎日辛い。

暇さえあれば君のことばっかり考えてるよ。ノートの片隅は君の顔と君が歌う言葉と、君が作った衣装ばっかり。最近は片隅どころかもう真ん中に侵食してる。友達にノート貸せなくてちょっと困ってる。ふいにくる友達からの「ノート見せて」が怖い。だけど君のことが好きだから、自分で描いた君を消すことは出来ない。

 

 

 

 

 

君が好きすぎて毎日辛い。

友達は優しいから、私が話す君の話を聞いてくれるけど、私は君のいいところを100としたら1も伝えられてない気がしてならない。

君のいいところを全部、全人類に知ってもらいたい一方で、自分だけが知っている君のことを心の中に留めておきたい気持ちもある。オタクってね、結構めんどくさいんだよ。

 

だから友達に君の好きなところを聞かれるといつも困ってしまう。星の数ほどあるんだ。あげだしたらキリがない。オタクの私だけが知っていて、オタクじゃない友達は知らない君の姿とか。例えば君の「可愛い」と「色気」のギャップとか?でもそれを言ったところで私の友達は「また言ってるよ〜」で片付ける。それに苛立つと同時にどこかで安心してる自分もいる。

 

 

 

 

 

 

君が好きすぎて毎日辛い。

君のことを好きじゃなかったら多分全然違う生活をしているんだろうな、と思う時がある。元々妄想癖を若干拗らせている私の頭の中の捌け口が一体どこになるのか、考えるとゾッとする。全部君に還元している。君にドラマでこんな役をやってほしいとか、君にこんな歌を歌ってほしいとか、君にこんな演出で舞台に立ってほしい、とか。お金と行動力と勇気と、頭の中をきちんと整理して目に見える形にする能力と、あとは別世界があれば私はそこでまあまあの演出家にはなれるんじゃないかと思う。

君は多分、君自身が持つ色を失わないまま、どんな色にも染まることが出来る人だ。君の中には確かに「自分」という軸があって、その周りに「アイドルの自分」というものが分厚く重なっている。

 

 

例えるならば、君はバームクーヘンのような人だ。

「自分」という軸となる棒に、何層も、何層も、美味しくて甘い「アイドル」の生地を重ねて、焼き上げていく。君は食べれば食べるほど美味しいバームクーヘン。腹持ちもいい。私はバームクーヘンを一層ずつ剥がしながら食べるのが好きだ。外ではそんな食べ方絶対にしないけど。

だけど私は軸を知らない。私の手元にあるのは真ん中に穴が空いたバームクーヘンで、そこに軸があることは分かっているけど、軸の実体を見たことはないし、軸が一体何で出来ているのかも知らない。

 

 

君って、そういう人。私は君を知っているようで、何も知らない。でも、なんだかそれでいい気もする。自分の全てを見ず知らずの人間に知られるのはきっと、君じゃなくても決して気持ちのいい事だとは思わない。

だからね、君にはこれからも美味しいバームクーヘンを作ってほしい。

腹持ちいいって言ったけど、私は消化がはやい方なので適当な感覚で焼いてくれると嬉しい。私はバームクーヘンを嫌いになることなんてないから、余らすことなんてないから、いっぱい作ってね。その分、私が全部美味しく食べるよ。

 

 

 

 

 

君が好きすぎて毎日辛い。

自分が頑張れない時、やる気が出ない時、絶対に君のせいにはしたくない。私には君がいるから頑張れるのに、どうも周りの人たちには私が君に現を抜かしているように見えるらしい。

君は三度の飯じゃないけど、無いと毎日相当きつい。それは君の存在を知ってしまったからなのだろうか。

君の存在を知らなかったら、私は三度の飯だけで健やかに生きていっているのだろうか。うーん、それはなんだか味気ないな。

 

私の毎日には、君がいて、君が要る。

 

 

 

 

 

 

君が好きすぎて毎日辛い。

でもね、この辛さには耐えられるんだよ。どうしてか分かる?

それはね、これは私が望んだ「辛さ」だからだよ。

「君が好き」という事象の中には、君を好きになることでうまれる「辛さ」がある。君を好きになることは楽しいことばかりじゃない。だけど私は、君のことを好きになって辛くなる、この気持ちを体験することも楽しいんだよ。君は多分、なんというか、辛さも楽しさに交換してくれる魔法を持ってるんだと思う。

 

 

 

 

 

君が好き。大好き。

多分これからもずーっと君を見てる。

君を追いかけて、辛くなって、泣いて、散財して、時間とお金が無いって騒ぐんだろうな。

それでもね、これだけは分かる。

 

 

 

 

 

 

私は君のファンでいる限り、ずっと幸せだ。

だって君が好きなんだ。しかたないだろう。